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サービスを実現するため、個人識別番号の制度化を正面から取り上げて論議すべき時期に来ているといえる。

この点で、自治省が96年3月に公表した「住民基本台帳ネットワークシステム」が注目される。このシステムでは市町村の住民基本台帳を基に全国民にそれぞれ10桁の固有の番号をつけ、住民票の交付や転入・転出手続に伴う行政サービスの向上、事務の効率化を図ることとしており、2000年の導入に向け制度化への準備が進められている。

基礎年金番号や旅券番号、運転免許番号など行政分野ごとの個人識別番号はすでに存在しているが、全国民を対象とする個人番号設定の制度化が図られれば、これを住民基本台帳事務以外のどのような業務サービスに応用していくかは別の論議に待つとしても、少なくとも国民に対する行政サービス向上のための一つのステップになることは確かである。

 

(3)情報公開法制定の本格化

行政情報化推進の直接の内容となるものではないが、行政情報公開法の立法化については、情報公開による行政情報の有効利用の観点からも大きな関心が持たれている。

95年3月行政改革委員会に行政情報公開部会が設置され法制化に向けての本格的な審議が行われてきたが、同部会は96年11月情報公開法要綱案を報告し、これを受けて行政改革委員会は96年12月政府に対し「情報公開法制の確立に関する意見」を提出した。

政府はこの意見を最大限に尊重してできる限り早期に法案をまとめるよう作業を進め、97年度内に所要の法律案を国会に提出することを「行政改革プログラム」に盛り込んでおり、順調に進めば98年には行政情報公開法の施行が想定される。

要綱案では開示する行政文書の対象に電子媒体も含めているため、文書等の管理システムに合わせて、電子情報の管理システムや提供システムの一層の整備が必要な状況となっている。

 

(4)電子保存、電子申請の促進

情報通信技術の活用が急速に進展している中で、既存の法体系は情報通信の利用を想定していないため紙ベースの処理が継続され、民間の負担はもとより行政事務の非効率を招いているものが少なくない。その典型的なものとして、これまで民間から強く要請のあった書類の電子データによる保存、及び申告・申請手続の電子化・ペーパレス化に

 

 

 

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